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今月の法話 2020/03/01

宗務所

寄り添いの形  ~事を同じくする~

新型コロナウイルスが世界各地で猛威を振るっています。3月初旬の現在で国内に感染者が1000人近くおり、県内でも感染者が確認されています。多方面で影響が出ているがコロナウイルスであるが、終息はいつになるのでしょうか。
お亡くなりになられた方に哀悼の意を表するとともに、1日も早い終息を願っております。

さて、先日はメディアにも取り上げられていましたが、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)では真偽不明のコロナウイルスに関する情報が拡散されておりました。このSNSというのはパソコンやスマートフォンなどのインターネット環境があれば誰でも利用ができ、不特定多数の人に向けて情報を提供することができる。それ故、今回のような事例も発生するわけです。発信元のわからない情報は鵜呑みにはせず、SNSから情報を得る際は十分に気を付けなければいけません。
ただ、このSNSも悪いところばかりではありません。うまく活用することができれば非常に画期的な情報発信・収集のツールでもあるわけです。
2016年の熊本地震の際は、SNSが有効活用されました。SNSは同時に大勢の人と連絡を取り合ったり、最新の情報を不特定多数の人と共有できるという利点があります。震災直後からこのSNSを利用し家族・友人の安否確認をしたり、被災地の災害状況、震災直後に取るべき行動、また、炊き出しや給水所の位置情報、自宅にある物で作る簡易トイレの作り方等、様々な情報をSNS上で得ることができました。また、被災した方々への応援メッセージも多数上げられており、心温まる光景でありました。


禅語には同事(どうじ)という言葉があります。事を同じくする、自分の事だけを考えるのではなく、相手の立場になり、思いやりのある行動をすること。嬉しいときは共に喜び、悲しいときは共に悲しむ。同事とは相手に寄り添い、共に歩もうとする姿勢であります。
相手の立場を思い、SNSを通して相手に寄り添う。このSNSに情報提供や投稿されている方々が行なっていることはまさに同事の行と言えるのではないでしょうか。
SNSを通して相手を思いやり、心の支えとなり寄り添うこと。現代だからこそできる、人とのかかわり方・寄り添いの形(同事)なのではないでしょうか。  
今後も、こういった心温まる行動が繋がってゆき、互いに助け合い、支え合うことができる社会になっていってほしい。