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今月の法話 2020/12/03

宗務所

12月の法話 「諸行無常」~怠らず努めよ~

12月の法話
「諸行無常」~怠らず努めよ~

今年も残すところ1か月を切り、日々寒さも増してまいりました。毎年この時期に新語・流行語大賞が発表されておりますが、今年ノミネートされた30の言葉を見てみると、「3密」や「オンライン〇〇」、「クラスター」、「新しい生活様式/ニューノーマル」等、半数以上が新型コロナウイルス関連の言葉でありました。これらの言葉が示すように、今年はこの新型コロナウイルスが私たちの生活にも変化をもたらしました。外出や人と会う際はマスクを着用し、人が多い時間帯や、人が多く集まる場所に行かないよう意識したりと、以前よりも人と会う時間が減ったように感じます。寺院では、法事等の行事の延期や中止、お葬式の規模縮小化、諸団体の会議も対面での会議からリモート会議へと切り替わっております。今年はこのように今まで当たり前に思っていた日常生活が様々変化している中で、皆様も公私共に中々思うようにいかなかったこともあったのではないでしょうか?

今月12月8日はお釈迦様がお悟りを開かれた日であります。各曹洞宗寺院では、この日を記念し成道会(じょうどうえ)法要を勤めております。そのお釈迦様がお説きになった教えの1つに「諸行無常」があります。この言葉は、「この世の中のあらゆる物事は一瞬たりとも停止することなく、常に変化し続けている」ということを伝えています。
草木は成長を重ね、生い茂り、やがて枯れ、土に還ります。限りある命を生きる私たち人も同様に、歳を重ねていつか命尽きるときが来るわけであります。しかし、「諸行無常」はただ世の中の摂理を伝えているのではありません。お釈迦様はお亡くなりになる直前、お弟子さん達に「諸行無常」をお説きになり、また「怠らず努めよ」と言葉を残されました。
この一言には「限りある命を生きる私たちだからこそ今という時間を真摯に受け止め、今自分のすべきことを考え積極的に過ごしていきましょう」というメッセージが込められております。また、世の中が変化するということは、滅びるものもあれば新しく生まれるものもあるということであります。この変化がないと良くも悪くもならないわけであり、変化の必要性も感じることができます。たとえ私たちの前に困難が直面したとしても、怠らず努めることでその変化を良い方向にもっていき、直面する困難も乗り越えることができるわけであります。
このお釈迦様の言葉は、コロナ禍で日々を奮闘する私たちへのメッセージでもあるのではないでしょか?うがい、手洗い、マスク着用、三密を意識したりと、できる限りのコロナ感染症対策をおこなっていく。日常生活においては、仕事をするときは仕事をし、休息時にはしっかりと体を休め、娯楽を楽しむときには娯楽に没頭する、ということであります。
突然のコロナ禍に見舞われ、収束の目処が立たない中であります。しかし、そんな中でも自分を見失わず、今を積み重ねていくことで、未来へ繋がり充実した日々を過ごしていけるのではないでしょうか?
「諸行無常」は今を懸命に生きる私たちへのメッセージでもあります。