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今月の法話 2019/07/01

宗務所

「杓底一残水 汲流千億人」(杓底の一残水、流れを汲む千億人)

永平寺をお開きになった道元禅師は日頃から仏前にお供えする水を、門前を流れる川から柄杓で水を汲みに行っておりました。その際、必要な分の水を使ったら、使わなかった残りの水を元の川に戻していたと言われております。
川には水が豊富にあり無くなる心配は無いわけです。しかし、どんなに水が豊かにあったとしても一滴の水も粗末に扱わない、その一滴を川に戻せば下流で水を使う人、またその先の子孫の為になるわけです。
今私たちが生活する周りにはたくさんのもので溢れています。水も電気も紙も使いたいときに使えます。しかし、今は好きなだけ使えていても、地球の資源には限りがあります。無くなる時がやってくるかもしれません。我々は自然と共に生きている、生かされているわけであります。この世に存在するものは、すべて支え合い、助け合って生かされているということを忘れてはいけないのです。このように考えるとき、我々は資源を初めとする一つ一つのものを大切にしなくてはならないのです。そして自分以外の他者も同様です。他者を思いやる心、これも現代の私たちに必要なことではないでしょうか?
「杓底一残水 汲流千億人」とは、自分のことだけ考えるのでは無く他者を思いやる心も大切にしましょう、というメッセージであります。